<恐怖のドライブ>
「じゃぁ、地図もあることだし、我々だけで行ってみますか。えーっと、地図、ちず、チズっと。あれっ、ないぞ。無い、ない、ナイ。いやあるはずだ。確かにメールのプリントと一緒にステープルしたはず。おまえらさがせーっ。」
とつれてきた二人に探させるが見つからない。
「じゃ、地図なしでいきますか。いや大丈夫ですよ。僕の頭の中にちゃんと入っていますから。」
とその時は確か自信があったのだが....。
「確か、RT28沿いですよ。」とバイケンさん。
「そうですね。橋のところまで行けば判りますから。」と私。
「Arkvilleという町ですよ。」とイワさん。
暗くなったRT28を西へArkvilleへ向かう。Arkvilleの町で皆薄い記憶をたどりながらいつか来た、橋へのコーナーを探す。角を曲がるごとにここじゃないと狭い田舎の道をUターンする。するたびにだらだらと後続の2台の車がUターンする。町の中心にあるピザ屋で訪ねることにした。中に入ると中年の女性一人の客に5〜6人の店で働いているお兄ちゃんたちがワイワイと話していた。その中でも一番年のいったオーナーらしき人物に「Little Red何とか」と言う道を知らないかと訪ねると、「うーん」と天井を見つめていたが、中年の女性客と
「あそこかな?」
「いやあそこじゃない?」
とボソボソと話していた。
「橋を超えてすぐの道なんだけど。」
と言うと、
「それじゃぁ、そこの角をすぐ左に曲がると橋があるから、その道を行ってみたら。」
とあまり正確な答えとは思えない返事が返ってきた。案の定、見覚えのない道だった。最後の手段、電話を掛けて見よう。当然M宅の電話番号は見つからない地図に書き込んであり判らないので、Kちゃんの携帯にオンになっていることに一途な望みをかける。
「シュるるるルーン、シュるるるルーン。」と3,4回なると、良かった、Kちゃんが出てきた。
「ナーにやってるんですか〜ぁ」
「いや、道に迷っちゃって、なぁ〜んて。」
すぐにMs.Mに代わってもらう。
「なぁ〜に、Arkville? もっと先よ。フライッxxxという町なのよ。曲がり角にxxxというモーテルがあるからすぐにわかるわよ。エフ、エル、イーxxx。」
「プツン。」
「もしもし、もしも〜しっ。あれっ、電池が切れちゃった。あはははー。」
たしか、もっと先のフライ何とかと言う町だと聞こえたぞ。さすがにMご夫妻、住んでいる町もフライに関係のある町なんだ、と変なところで感心して、注意が散漫になっている。しかも、何かと慌てている時は人が言っていることを最後まで正確に聞き取れない。xxxのところは頭の細胞から消えている。バイケンさんの地図で確かめればいいものを、チラッと頭をかすめたにもかかわらず、先に行けばそのフライ何とかという町が出てくるものと信じて疑わなかった。さあ、西に向かって再度出発。しかしそのフライxxxはなかなか出てこない。そのうちにRT30と合流した。いや、これは進みすぎだ。暗い田舎道の脇に先導車が止まり2台目、3台目が止まる。バイケンさんの地図を見ると
「あれっ、フライ何とかは反対の手前の方じゃん。なんで、もっと先って言ったのかなぁ?」
とUターンする。2台目イワさんの車危うく後ろからきている車に当てられそうになる。
「Ms.M、きっと我々RT28を西の方から来てると勘違いしているんだ。そうでもなきゃ<もっと先>なんていうはずがないじゃないですか。」
と私は勝手に決め込んだ。今度はRT28を東に。焦っている。落ち着け、落ち着け。こういうときに限ってスピードを上げたがるので自分を落ち着かせる。「ヨッ。」前にパトカーがいるではないか。しばらく後にそ〜っとくっついて走りつづける。突然、前のパトカーがランプをチカチカ光らせた。「ぎくっ」とする。大丈夫だ。対向車が路上で止まっていたのでヘルプが必要かどうか聞いたみたいだ。又、走り出す。やっと「Fleischmanns」のサインが出てきた。「フライッシュマン」と呼ぶのだろうか。やはり「フライフィッシャ-マン」に似ているではないか。変に自信がよみがえってきた。と、パトカーが2度目のチカチカをやりだした。前方の路上脇に車が停車していた。パトカーがその車の後ろに停車した瞬間に「うら若き」女性が飛んだり跳ねたりの身振りで騒いでいるのが車のヘッドライトに照らし出された。
「あれっ、あれはKちゃんじゃないの。そうか、ここまで出迎えにきてくれたんだ。」
パトカーは事情がわかると又走り出した。出迎えのCapris Classicの運転席には講釈士が、髪ばさばさ、青ざめた顔で座っていた。しかし、良かった, 良かった。皆、笑顔、笑顔。今度は確かに見覚えのある橋を超え、Caprisの後ろにくっ付いてやっとM宅にたどり着いた。 |